今回は、長期休暇の宿題で毎回苦戦する人の多い
「読書感想文」の書き方について、
中学校1年~3年向けに原稿用紙5枚分の例文を書いてみたので
ご紹介します。
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読み易いように行間を空けていますが
原稿用紙上では詰めて書いています。
読書感想文の書き方と構成は感想文の後で解説します!
中学生向け読書感想文例文 タイトル 「つきのふね」を読んで
「一九九八年 最後の満月の夜
水城小学校の屋上に
真の友 四人が集いし その時
月の船 舞い降り 人類を救う
すると人類は もう宇宙船を造らなくて
よくなるであろう」
これは、物語の中に出てくる『予言書』に書かれた内容だ。
世紀末の一九九九年、私の両親が学生だった頃に「ノストラダムスの大予言」というものが流行ったそうだ。
そんな時代に描かれた作品で、しかも「つきのふね」というファンタジーらしいタイトルに興味を持ったので、なんとなく読むことにしたのがきっかけだ。
結論から言うと、ファンタジー要素は全くなく、むしろ私と同世代の中学生たちがそれぞれ持っている悩みや不安、心境の変化、そして心の成長が描かれた作品だった。
ある事件をきっかけに、絶縁状態になってしまったさくらと梨利。
梨利に好意を持っていて、さくらと復縁させるため何かとおせっかいをやく勝田。
孤独なさくらの支えになっているが、自らも心に闇を抱える大学生、智。
お互いに依存したり自分の意見を押し付けてみたり、繋がっているようでバラバラな心が、読んでいて辛く感じた。
どこかで感じた辛さだと思ったら、スマホのSNSだった。
対面では言えない悩みや愚痴をグループの仲間と共有して癒されることもあれば、一方で自分勝手な発言や暴言も目立つ。
お互いに依存しているような、友達のようで友達でないような感覚になかなか慣れなくて、私自身悩んだ時期があった。
物語の中で、大学生の智は、来る世紀末に向けて人類を救う「月の船」の設計に没頭する。
そんな現実から目を背けて生きている智と話すことに心の安らぎを覚えるさくら。
さくらと疎遠になり、孤独を感じる梨利。
そんな憂鬱なストーリーの中で、少しやり過ぎな感じはあっても勝田の行動力や正義感は私の心を温かくさせた。作品はさくら目線のため、勝田はストーカーみたいな描写ではあったが。
冒頭に書いた『予言書』も、自分を見失い暗闇をさまよう三人を助けようと勝田が考えた偽物。
これを作ることで、もう一度仲間たちが現実と向き合い、相手と向き合うきっかけを作りたかったのだろう。
物語の中盤で、勝田は梨利に
「ずるいよ、なんか自分だけ不幸みたいで。梨利は人より大変な性分に生まれついたと思ってんのかもしんないけどさ、自分の弱さを怖がってんのかもしんないけど、でもほんとはみんな一緒じゃん。だれだって自分の中になんか怖いもんがあって、それでもなんとかやってるんじゃないのかよ」
と珍しく真面目な口調で言っている。
普段元気で勢いのある勝田も、心の中では日々悩み、不安を抱き、苦しんでいる。
だから、勝田は智の考える「月の船」を否定しながらも、予言書には自分も人数に含めた「四人」が月の船に救われる、と書いたのではないか。仲間を救いたい気持ちと同時に、自分も救われたい。そんな願望もあったのではないだろうか。
そう考えると、悩みのない人間なんていないと改めて思う。ただ、その悩みとどう向き合うかによって、その人が幸せそうに見えるか、そうでないかが違うのかな、と思った。
物語の最後に、偽物の予言書は実現する。
もちろん、智が設計した「月の船」は完成しない。それでも、四人の目の前には、ちいさな「つきのふね」が確かに現れ、四人を暗闇から救い出した。
私はこの場面を読んだ時心が震えた。鳥肌が立った。四人がしてきた経験は、全てこのときのためにあったのだ、と感じた瞬間だった。
一九九九年に流行った、ノストラダムスの大予言は外れ、世界は滅亡しなかったから、私は今生きている。
家族や友達に支えられ、悩みや不安と向き合いながら、私は今を生きている。
私はこれから生きていく中で、時には友達と意見がぶつかることもあるだろうし、親と言い争いになることもあるだろう。そのときは嫌な思いもするだろうけど、やはりどんな時でも相手と真正面から向き合える関係を大事にしたい。
それはSNS上の繋がりだけではたぶん難しく、きちんと相手の目を見て、相手を思いやる気持ちを持って接することが重要だ。
決して大きな大きな「月の船」に乗ろうとする必要はない。小さくて、二人が向き合って一緒に漕いで行くことですすんでいくような小船をたくさん乗り継いで、私の人生という大海原を少しずつ、しかし確実に前進していきたい。
読書感想文の書き方と構成
この文章は3時間ほどで書きました。
たくさんの課題に追われる中学生にとって、
読書感想文にばかり時間をかけたくないですよね。
3時間なら、一晩頑張れば確保できる時間だと思います。
既に本を読んでいて、原稿用紙3~5枚程度なら
きっとあなたも同じぐらいの時間で書き上げることが出来ます。
そのための方法を以下に解説します!
原稿用紙にいきなり書かず、ワークシートにネタをまとめよう
読書感想文の書き方と構成を考える上で大切なのは、ワークシート作りです。
といっても、ネット上にあるワークシートをわざわざダウンロードしなくても良いです。
いらなくなったプリントの裏紙で構いません(笑)
書き出したい項目は、
○印象に残ったセリフ
○本の大まかなあらすじ
○登場人物に共感できた場面とそのときの感想
○本の中で一番盛り上がった場面とその感想
○この本を読んで気付いた事、学んだ事
○これからの目標
このあたりです。
この項目を踏まえて、もう一度上記の読書感想文を読んでみて下さい。
文章のほとんどがこの内容で書かれているのに気付いてもらえると思います^^
文章構成として効果的なのは、
「文頭に『本で使われた印象的なセリフ』を持ってくる」
「あらすじを書くときには必ず感想とセットで書く」
「本の紹介文ではなく、その作品を通じた自己紹介文を書くつもりで書く」
「原稿用紙の最後の1枚にはあらすじはほとんど書かず、『成長した自分』『これからの目標』など自分のことを書く」
といった方法です。
読書感想文の宿題はさっさと終わらせて、他の勉強をする時間や好きなことをして過ごす時間を増やしましょう!